鼠径ヘルニアは、症状を放置すると時に危険な状態である「嵌頓」を引き起こすことがあります。嵌頓は、腸が筋肉の欠損部で締め付けられ、お腹の中に戻れなくなる状態で、腸の壊死や腹膜炎といった命に関わる危険性が伴います。
この記事では、鼠径ヘルニアの病態や嵌頓のリスク、治療方法について解説します。
鼠径ヘルニアとは
まず、嵌頓を理解するために、鼠径ヘルニアの病態を知っておくことが重要です。
鼠径部は足の付け根より少し上の部分を指し、ヘルニアは体の組織や臓器が本来あるべき場所から飛び出してしまうことを意味します。鼠径ヘルニアとは、鼠径部から発生するヘルニアのことで、腸などの腹腔内臓器が筋肉や腱組織の外に出てしまう状態を指します。
鼠径ヘルニアの主な症状は、鼠径部の膨らみです。その膨らみは、立位でみられ、仰向けの状態では消失する傾向があります。また、長時間の歩行や立位で鼠径部に違和感や痛みを感じる場合も鼠径ヘルニアが疑われます。
嵌頓とは
鼠径ヘルニアの症状である鼠径部の膨らみや痛みを放置すると、症状が悪化し、日常生活に支障をきたすだけでなく、時に危険な状態になることがあります。その危険な状態を「嵌頓(かんとん)」と言います。
嵌頓とは、筋肉の欠損部から脱出した腸がその部位で締め付けられ、お腹の中に戻れなくなった状態です。嵌頓が長時間続く(通常12時間以上)と、腸への血流が途絶え、壊死を引き起こす可能性があります。
腸が壊死すると、腹膜に炎症が起こり、「腹膜炎」という病態に進行します。腹膜炎が発生すると、腹部に激しい痛み、吐き気、嘔吐などが伴い、場合によっては命に関わる危険性があります。
鼠径ヘルニアは、嵌頓という危険な状態を事前に防ぐためにも早期治療が重要です。
鼠径ヘルニアの治療
鼠径ヘルニアは、手術によって治療が行われます。
鼠径ヘルニアを放置しても自然治癒することはなく、薬剤で治療することもできません。ヘルニアバンドや脱腸帯といった器具もありますが、鼠径部を圧迫して症状の膨らみをおさえるのみで治療にはなりません。
鼠径ヘルニアの手術方法には、腹腔鏡手術や鼠径部切開法などがあります。手術の選択は、患者さんの年齢や性別、基礎疾患の有無や種類、腹部手術歴などを考慮して判断されます。また、外科医が最も得意とする手術方法を選択することも判断基準となります。
まとめ
この記事では、鼠径ヘルニアの病態や嵌頓のリスク、治療方法について解説しました。
ご紹介した内容を以下にまとめます。
【まとめ】
1.鼠径ヘルニアは、鼠径部から発生するヘルニアで、腹腔内臓器が筋肉や腱組織の外に脱出する状態。
2.鼠径ヘルニアを放置すると、危険な状態である嵌頓を引き起こす可能性がある。
3.嵌頓は、腸が筋肉の欠損部で締め付けられ、お腹の中に戻れなくなる状態で、腸の壊死や腹膜炎など命に関わる危険性がある。
4.鼠径ヘルニアの治療は手術で行われ、患者さんの状態に応じて腹腔鏡手術や鼠径部切開法が選択される。
鼠径ヘルニアの治療はKenクリニック
千葉県袖ケ浦市のKenクリニックは、鼠径ヘルニアに特化した短期滞在型手術を専門とするクリニックです。当院は入院施設を併設しており、日帰り手術だけでなく、1泊2日などの短期滞在による治療も可能です。
診療を担当する山本海介医師は、鼠径部切開法で2000病変以上、腹腔鏡手術で1000病変以上の経験があります。この豊富な経験を活かして、患者さんの病状に適した最適な治療を提供しています。
鼠径ヘルニアの症状でお悩みの方は、ぜひ当院を受診ください。
著者情報
Kenクリニックは、鼠径部ヘルニア手術を中心に行う短期滞在型手術専門クリニックです。
当院は、「鼠径部ヘルニア」中心の治療に特化した短期滞在型手術を専門とした医療を通じて地域医療に貢献します。