千葉県袖ケ浦市の鼠径ヘルニア専門クリニック「Kenクリニック」です。当院では、鼠径ヘルニアを日帰り手術で治療しています。
本記事では、「高齢者の鼠径ヘルニアは手術しないほうがよいのか?」という疑問について、正しい知識に基づいた手術に対する考え方や治療法の選択などについて解説します。ぜひご参考ください。
鼠径ヘルニアの治療法

鼠径ヘルニアの治療は、手術によってのみ行われます。薬で治療することも難しく、放置しても自然に治ることはありません。また、一時的に症状を緩和する目的でヘルニアバンド(脱腸ベルト)を使用する方もおられますが、これはあくまで対症療法にとどまり、根本的な解決にはなりません。
治療に用いられる主な手術方法(術式)は、「腹腔鏡手術」と「鼠径部切開法」の2種類があります。どちらの方法でも、ヘルニアが生じた部分(ヘルニア門)を補強する目的で、医療用メッシュを用いるのが一般的です。メッシュの使用により、再発リスクを抑えつつ、術後の疼痛を軽減することが可能になります。
術式の選択にあたっては、患者さんの年齢や性別、基礎疾患の有無・種類、過去の腹部手術歴などを総合的に考慮して判断されます。加えて、執刀する外科医が最も得意とする術式を選ぶことも、重要な判断基準の一つとなります。
高齢者の鼠径ヘルニア手術に対する考え方

鼠径ヘルニアは良性の疾患であり、初期段階では症状が軽く、日常生活に大きな支障をきたさないことも少なくありません。そのため、「手術を受けずに様子を見ても問題ないのでは」と考える方もいらっしゃいます。特に高齢者の場合、全身麻酔による手術リスクを懸念し、積極的な治療を避ける傾向がみられます。
しかし、鼠径ヘルニアを放置すると、重大な合併症である「嵌頓(かんとん)」を引き起こすリスクが高まるため注意が必要です。
嵌頓とは、鼠径部の筋肉の隙間に腸などの臓器がはまり込み、元の位置に戻らなくなる状態を指します。この状態が続くと、腸閉塞や腸壊死、さらに腹膜炎などの重篤な合併症を引き起こすおそれがあります。
特に高齢者では、腸閉塞に伴う嘔吐による誤嚥性肺炎や、腸壊死により腹膜炎へと進行したりすることで、命に関わる深刻な事態を招く可能性が高くなります。
そのため、高齢であっても鼠径ヘルニアが疑われる場合には、放置せず、できるだけ早期に専門医の適切な診断を受けることが重要です。
鼠径ヘルニアの入院治療と日帰り手術

これまで鼠径ヘルニアの手術は、数日間の入院を前提とした治療が一般的でした。しかし近年では、医療技術や麻酔管理の進歩により「日帰り手術」が広く普及しています。
日帰り手術には、入院に伴う時間的・精神的な負担を軽減できることや、社会復帰までの期間が短くなるといったメリットがあります。仕事や家庭の事情で入院が難しい方にとっては、大きな利点といえます。
一方で、高齢の患者さんで基礎疾患を複数抱えている場合や、全身麻酔にリスクがある方は、安全性を最優先に考え、入院による治療が推奨されることもあります。
ただし、高齢者の入院治療では「せん妄(せんもう)」と呼ばれる、一時的な意識障害や混乱が起こるリスクがある点にも注意が必要です。慣れない入院環境が精神状態に影響を及ぼすこともあるため、状態が安定していれば、日帰り手術のほうが生活環境を維持でき、推奨される場合もあります。
高齢者の鼠径ヘルニアの治療においては、患者さん一人ひとりの健康状態や生活状況を十分に考慮し、適切な治療方法を選択することが重要です。まずは、専門医の診察を受け、自分に合った治療方針について検討することが重要です。
鼠径ヘルニアの治療はKenクリニック

千葉県袖ケ浦市のKenクリニックは、鼠径ヘルニアに特化した専門クリニックです。当院では、鼠径ヘルニアを日帰り手術で治療しています。
診療を担当する山本海介医師は、鼠径部切開法で2,000病変以上、腹腔鏡手術で1,000病変以上の経験があります。この豊富な経験を活かして、患者さんの病状に適した治療を提供しています。
鼠径ヘルニアや鼠径部の症状でお悩みの方は、ぜひ当院を受診ください。
著者情報

Kenクリニックは、鼠径部ヘルニア手術を中心に行う短期滞在型手術専門クリニックです。
当院は、「鼠径部ヘルニア」中心の治療に特化した短期滞在型手術を専門とした医療を通じて地域医療に貢献します。